消費税10%以前に、日本のキャッシュレスの混乱ぶりについて投稿しました。今回はその後のポイント優遇の実態とキャッシュレスの問題点をとりあげ話題にしたいと思います。
日本は、世界の中で銀行口座の保有率もクレジットカードの保有率も高いにもかかわらず、なぜキャッシュレス決済が遅れ、依然として現金決済が主流となっているのでしょう。
中国のようにQRコード利用の環境整備が整っていないこと、つまり「なんとかPAY」が乱立して店舗側も消費者側も使い勝手が悪くなっております。ポイント優遇策によって一時的には流行の風が高まりましたが、長続きはしません。皆さんのお住いの近辺を見ても小規模店舗でキャッシュレスを導入しているお店はほとんど見受けられないのではないかと思います。
消費者は決済が目的ではなく、コンビニに行って物を買う、居酒屋に行く、タクシーに乗るなど移動したり、楽しんだり、物を買うことが目的なんです。銀行、通信、小売り、そして大企業からベンチャーまで様々なQRコードが発行され、どの店舗で使えるのか、どのQRコードを使えばよいのかさっぱり分かりません。煩雑で面倒くさいのです。
消費者の利便性やキャッシュレス普及の必要性から考えれば小規模店舗に普及させることが焦眉の急です。そのこと無くして現金に縛られた非効率の世界からは抜け出せません。
そこで小規模店舗になぜキャッシュレスが普及しないかを考えたとき、QRコード決済はサービスごとに規格が異なり、店員も、消費者も混乱します。
キャッシュレスには、クレジットカード、デビットカード、プリペイドカードなどもあり、さらに分かりにくくしているのです。このカード決済にしても、その区別が分かりにくく、長短をつかみきれていないのです。
クレジットカードは小売店にとっては手数料が高く少額決済では採算が取れません。それに安全性重視のためかその都度サインを求められるなど煩雑さで嫌われます。デビットカードはクレジットカードに近いものとプリペイドカードに近いものがあります。プリペイドカード(電子マネー)は極端に言えば現金と同じでチャージした現金がなくなれば自動的にはねられるもので、本当はサインなど必要がなく、せいぜい4桁のパスワードを店員に見られることなくお客自身で入力するくらいです。カードの性質から言ってイギリスのNFCコンタクトレスのカードに最も近い存在です。デビットカードは金融機関の口座と紐付けられているため多少煩くなるのはやむをえません。小規模店舗では、この違いが分かっていないのか、クレジットカード決済の煩雑さと高額手数料が頭に浮かび同一視され、敬遠されています。
プリペイドカードや電子マネーは手数料が少なく、設備も簡単でお店の負担も軽く安全性も高いのです。正に小規模店舗向きと云えます。わかりやすく言えばSuicaやPASMOが該当します。私の友人でSuicaを銀行預金と紐付け、一定額になると自動的にチャージされるようにして、交通機関だけでなくコンビニとかスーパーでも使っている人がおります。先日、5000円ばかりポイントが貯まったと自慢しておりました。
一方ヨーロッパではデンマーク、スエーデンなどクレジットカード、デビットカードだけを受け付ける完全キャッシュレス店舗が登場してきております。イギリスはキャッシュレスが最も進んいる代表的な国と云えます。NFCコンタクトレスのクレジットカード、デビットカードが普及し市民の日常生活に深く浸透しております。タクシーやバス、メトロなど交通機関はもちろんのこと店舗決済にも用いられております。完全キャッシュレス化により店舗のオペレーションを効率化でき、警備などの効率化にもつながっているようです。意外なことにヨーロッパでは、スロットマシンなどギャンブルにまでキャッシュレスが浸透する例が出てきております。
一方、教会の寄付もキャスレスでコンタクトレスカードをタッチするだけで3ポンド(約450円)が寄付できてしまうのです。
もちろんヨーロッパでもドイツのように、キャッシュレスのカードが普及しているにもかかわらず、キャッシュレス決済の普及が遅れている国もあるのです。第2次世界大戦当時のナチスの記憶から、情報を管理されることを嫌う傾向が高齢者にあり、またスマホなど最新技術への信頼が低いことも原因となっているようです。
日本でも6月末で、政府のキャッシュレス推進のためのポイント優遇がなくなりますが、それに代わってマイナンバーカードを使った代替え案が進められるようです。これにはQRコードがつけられておりキャッシュレス化に適していると考えているのでしょう。しかしドイツのように情報管理に対する危惧は日本でも強く残っています。
いずれにしても、日本のキャッシュレス化は、銀行など金融機関の業務改善のためにも、また店舗の効率化を進めるためにも必要なことで、特に小規模店舗への浸透が不可欠です。
レジ待ちを無くす効果はタッチレス、セルフチェックアウトの利便性から生まれます。日本のクレジットカードの手数料は高すぎます。オランダではデビットカードの決済手数料は1件当たり定額で約7円、クレジットカードの決済手数料は1.4%で日本の3%~4%より大幅に安くなっております。
さらに、米国のAmazonGoは完全無人レジを実現し、インドネシア、シンガポール、台湾にも進出しております。SelfCheckOutは完全無人レジを可能にし、WalMartやドラッグストアでも採用されております。
小銭の廃止も課題となります。一円硬貨の製造コストが通貨の価値を上回る時代が迫っております。
以上のような課題を解決するには5年以上かかるのではないかと危惧されます。
エネルギーの地産地消と結び付け、地方通貨を発行する方法も考えられます。キャッシュレスは焦眉の急で、小規模店舗の負担が少なく、消費者の使い勝手が良いSuicaやPASMOのようなプリペイドカードを中心に進めるべきだというのが今回の結論です。