コロナで露呈した日本経済の脆弱性

オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名をはせたデービッド・アトキンソン氏の「コロナで露呈した日本経済の脆弱性の根因」をご紹介いたします。

コロナウイルスの蔓延により、多くの日本企業が窮地に陥っています。特に中小企業の経営は厳しく、今後多くの中小企業が経営破綻することが危惧されています。当然ですが、このような危機への対応力は一般に企業規模が大きいほど強く、小さいほど弱くなります。国全体で見ても同様に、企業の平均規模が大きいほど危機に強く、小さいほど危機に弱くなります。

このような有事の際には、「企業さえ潰れなければいい」というわけではありません。そこで働く従業員の命や健康を守ることも大切です。実はこの面で見ても、規模が小さい企業ほど従業員を危険に晒しやすい可能性があります。東京商工会議所が2020年3月に実施した調査によると、テレワーク導入率は従業員数300人以上の企業が57.1%だったのに対して、50人以上300人未満の企業では28.2%、50人未満の企業では14.4%にとどまっていました。50人未満の企業の経営者も、悪意をもって導入を先送りしているわけではないでしょう。規模が小さすぎて、時間的にも金銭的にも人員的にも余裕がなく、導入できないのだと推察できます。こういった企業が多い国ほど、当然、テレワークの導入率は構造的に低下しますので、「Stay at home」に悪影響を及ぼします。

さらに、小規模事業者が増えれば増えるほど、その国の生産性が低くなるので、財政が圧迫されます。すると、小規模事業者が多い分だけダメージが大きいのに、それに対応するための予算が限られてしまうのです。(東洋経済オンラインより)


政府は39兆の財政出動を考えているようですが、経済が壊滅的になりお金や雇用がない、一遍にすべてが元通りになるのは困難だろう。財政出動しても消費は元に戻らない。

以上の問題提起を裏づけるように10万円給付に巡って早くも迷走が始まっております。
首相は17日官邸で記者会見し「できるだけ早く」今回はスピードが重要だと発言しました。一方、麻生財務相は同日の記者会見で「今回は要望する人、手を挙げた人に給付する事になる」と説明。

自民党本部で行なわれた会合では、麻生氏の言う挙手方式では「くれてやる」という態度にとられかねないなど反対論が噴出、一律給付を求める声が多数を占め、支給方式確定を巡り調整にさらに時間がかかる可能性があると東京新聞は報道しています。

日銀の営業毎旬報(2020年4月10日現在)を見ると3月31日現在と大きくは変化しておりません。ただBS合計残高がじわじわと増加し資産内容の劣化が起こっている傾向は見逃せません。新型コロナ関係の対策が進んだ時点で総点検する必要があります。4月10日現在の政府預金残高22兆円が他の勘定科目と関連してどのように変化するかに注目したいと考えております。


中村祐輔・東京大学医科学研究所教授、がん研究会付属センター所長、シカゴ大学名誉教授は東京新聞のインタービューに応じ、厚労省・国立感染症研究所が主導する新型コロナウイルス対策について次のように批判されております。

潜伏期間が長く、感染力が非常に強いウイルス感染はクラスター(感染者集団)を追跡するだけでは抑え込めない。検査を絞り込んで医療崩壊を抑えている様に見せてきたが、検査を受けられない軽症者が行動制限など受けずに感染を拡げるのは大きな問題だ。検査数が増えなかったのは感染症対策の闇とも云える。真実を知る努力が足りず、科学的な視点の対策が遅すぎる。(東京新聞4月19日朝刊)

同様の主張をする研究者で先の投稿に登場した児玉龍彦・東大先端科学研究センター名誉教授も「新型コロナについて、殆ど分かっていない変異や耐性の実態を究明することが急務であり、そのためには疫学的大規模サンプリング調査が必須だ」と指摘しております。コロナ対策については諸説紛紛の中「見えない敵」に対する根本的取り組みが必要となってきています。

科学的根拠を示さず推測で語る専門家が多い中で、目先のクラスター追跡に拘り近視眼的対応に終始するリーダーに見切りをつけ、正しい遺伝子検査に基ずく遺伝子解析、配列決定の研究体制を緊急に整備し、これと連動して医療崩壊を防ぐ具体的な取り組みを指揮する体制を再構築する必要があります。

変異や耐性などの根本問題に取り組む児玉龍彦教授の提言を今一度噛みしめてみませんか?

1.膨大検査で病院を守る
2.ドライブスルーの検査は「船の科学館」型へ
3.GPS検査の匿名化と個別追跡
4.ライフラインを守る人の支援(抗体検査の活用)

詳細は次の動画で—