中国科学院傘下の武漢ウイルス研究所

情報が日替わりで変化しているので昨日の投稿の補足を書くことにいたしました。

2019新型コロナウイルスは、世界保健機関(WHO)によって2019-nCoVと命名された病原性のウイルスです。

中国の研究者が報告した主症状は1月21日判明分で、40℃程度の高熱(98%)、乾いた咳(76%)、息切れ(55%)など。他に、全身倦怠感、吐き気、筋肉痛等を催すと報告されている。顕著な合併症は肺炎です。

他のコロナウイルス科ウイルス感染症との鑑別は外観所見上からは難しい。ただし、発熱せずに死亡した患者もいるので、発熱検知装置だけで検出できない可能性もある。また、無症候キャリアが感染能を持つ可能性もある。症状は以上の通りです。

以下は感染症研究の専門家の情報です。この情報では武漢ウイルス研究所から漏れたとは言っていないが、その疑いはゼロとは言えない。
比較的学術的な内容なので政治色は薄いと思われます。このような情報はあまり出回っていないので参考になると思います。(田中宇の国際情報にも引用されています)

中国湖北省を中心に感染が広がる新型コロナウイルスの感染源はコウモリの可能性が高いと、中国科学院などの研究チームが発表した。論文が英科学誌「ネイチャー」に掲載されました。

「2019-nCoV」は新型コロナウイルスの正式名称

武漢にある中国科学院傘下の武漢ウイルス研究所(武漢病毒研究所)である。この研究所は、02年末に広東省から発生したSARSの感染経路について研究していた。武漢ウイルス研は、中国のSARS研究の中心地だ(北京のウイルス研から中心地が移ってきた)。SARSもコロナウイルスであり、今回のウイルスとかなり似ている。武漢研は、SARSのウイルスがコウモリからハクビシン(野生猫)を経由して変異しつつヒトに感染したことを突き止めた。ハクビシンとヒトのSARSウイルスはほとんど同じもの(ゲノムの配列が10ヌクレオチドの違い)であり、コウモリが独特の免疫システムによって多数のウイルスを体内に保有し続けていることを加味すると、SARSの発生経路はコウモリから野生のハクビシンに移り、広東省内の野生動物食肉市場に入荷した生きたハクビシンから売り子や買い物客に感染したと考えられる。

コウモリは、飛行する唯一の哺乳類だ。飛行には多大なエネルギーが必要で、飛行可能になるための進化の過程で免疫システムが独特なものになっている。他の哺乳類だと発症してしまうウイルスが、コウモリの体内では消滅も発症もしない共存状態で維持され、その結果、コウモリはヒトなど他の哺乳類にとって危険なウイルスを無数に持っている。コウモリが持っている危険なウイルスのほとんど(狂犬病以外)はヒトに直接に感染せず、コウモリより大きな哺乳類を経て変異を重ねてからヒトに感染する。SARSの場合、コウモリからハクビシンを経てヒトの感染に至るまで25-60年かかっていると推測されている。

[コメント]
武漢ウイルス研究所は17年間SARS・コロナウイルスの研究をやってきている実績を持つ。それにも拘わらず、的確な治療薬や予防薬が見つかっていないことは、コウモリに由来するコロナウイルスが変異を重ねいかに複雑化しているかを証明している。

従って今回のパンデミックが収束したとしても、変異はどこまでも続き、次の新型コロナウイルスが現れることになる。すなはち、人類はグローバルな交通体系を絶たなければ永遠に悩まされることになる。しかし人間の交流を制限することは経済を含む文明体系の否定となる。

自然災害、環境問題がこれに重なりグローバル資本主義の拡大志向を止めざるを得なくなる可能性が強い。
このあたりで、低成長下の幸福の追求と云う方向に舵を切り替えないといけないかもしれない。

コウモリの生態に関しては吉川泰弘氏(獣医学専門家)のホームページが参考になります。

フォーサイトの情報の「医療崩壊」上昌広氏の記事は政府の対策会議での批判的発言だけに注目を浴びています。

上の図表は世界主要国のGDPの伸び率をIMFとOECDが予測したものです。日本の成長率が世界の主要国に比べていかに低いかに注目。

新年の投稿はエネルギー問題とする予定でしたが、緊急事態発生のためテーマを変更しました。

年末から経済雑誌の2020年予測特集を読み漁りましたが、いずれも楽観的見方が大勢で首を傾げるばかりでした。
経済界トップ3人の経済予測は、「安定感」「悲観ない」「五輪効果を波及させたい」など正月でもあり楽観論ばかりで他のエコノミストや投資コンサルタントも同様の楽観論が大勢を占めておりました。

2013年から始まった「異次元金融緩和」の矛盾が出始め、マイナス金利の影響で3メガバンクの業務純益の低落、人員・店舗の削減計画など、18年度は前期比17.9%の純益減となった。地銀はより切実で金融庁によると、18年度に赤字だった地銀は全国105行のうち4割の46行だった。さらにそのうち45行が2年連続赤字、うち27行は5年以上の連続。ひとたび赤字に転落すれば抜け出せない泥沼の状況に陥っているのです。

共同通信社をはじめとするマスコミ38社が構成する「日本世論調査会」の調査結果では、アベノミクスに「期待しない」「あまり期待しない」が56%でした。

日本が抱える借金の規模は太平洋戦争の末期とほぼ同じ水準になっています。18年度のGDPに対する借金残高比率は200%、終戦の前年1944年の同比率は204%でした。19年度補正予算4兆5千億円に加え、20年度予算案も2年連続の100兆円超えの見通しで借金残高はさらに上昇します。

このような経済状況の中で、どうやって借金を賄うのでしょうか。仮に将来世代に付け回しができたとしても日銀の債務超過の懸念は払拭できないでしょう。政府直接調達(ヘリコプターマネー)は多くの法改正が伴うことと対外信用の低下のデメリットがあり簡単にできるものではないのです。日銀はアベクロ共同体と云っても、日銀の自衛の意識も働き「やったふり」をするか、株価維持には協力するが国債の増発には制限をかける可能性が強いのです。そうなれば、税収を増やすしか手はなくなるでしょう。

運が悪いといえばその通りですが、折も折緊急事態が発生しました。以下産経新聞から—

イラクの首都バグダッドの国際空港で3日、米軍による空爆でイランの精鋭部隊・革命防衛隊の実力者ソレイマニ司令官らが殺害された。米国防総省が殺害を認める声明を出し、イラン側も死亡を認めた。ソレイマニ司令官はイラン国内で英雄視される存在で、米国とイランの緊張関係がいっそう高まるのは必至だ。
5日には革命防衛隊のデフガン司令官が米CNNテレビの取材で、米国への報復について「軍事施設に対する軍事的な対応になる」と明言した。

産経ビジネス

一方、トランプ米大統領は4日、イランが米軍による革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官殺害の報復として米国民や米施設を攻撃した場合に備え、イランの重要施設など52カ所を攻撃目標に設定したとツイッターで明らかにした。「迅速に甚大な打撃」を与える態勢を整えたと強調し、牽制(けんせい)した。イラン外務省は5日、トランプ氏の発言内容を「国際法違反だ」などと批判し、反発している。

トランプ大統領は同じくツイッターで「アメリカは兵器に2兆ドルかけたばかりだ。わが軍は世界最大かつ最強なのである。イランがアメリカ軍基地やアメリカ国民を攻撃した場合には新調の兵器を送りこむ。何の躊躇もない。」と述べています。

もはや日本が仲裁できる段階ではないでしょう。すぐさま、イランが直接米軍直接攻撃することはないだろうが、最も報復が実施される可能性が高いのは空爆があったイラクです。司令官とともに殺害されたイスラム教シーア派民兵組織「人民動員隊」は無意味になった外国部隊を追い出すために結束するよう求め、駐留米軍を撤退させる法制化を目指す動きを示しています(1月6日駐留米軍撤退が決議されたとの報道あり)。このあたりから緊張が高まりエスカレートしていく可能性が強いのです。

日本人のこの問題に対する危機意識は大変低く、「仲裁」どころか板挟みとなり窮地に立つ恐れが強いのです。自衛隊の中東派遣は実にタイミングが悪かったということになるでしょう。

4日に発表された金価格が一気に136円の値上がりとなりグラム当たり6002円をつけた事実は、世界がいかに危機意識を持っているかを表しております。ドル円は一時107円台を記録し、日経平均株価は23207円(500円近くの下落幅)となったのです。

危機管理の鉄則として「どんな情報も否定するな」そして「どんな情報も鵜呑みにするな」というのがあります。そして「プロは最悪を考える。そしてリカバリープランを一つでなく二つ以上持て」「小さい兆しがいくつか重なった先にリスクがある」と警告しております。

正月早々悪いニュースばかりで恐縮でした。次回は必ずエネルギー問題を取り上げ「自然エネルギーが化石燃料を凌駕する」と題して、世界の潮流として電気料金が画期的に安くなり産業構造を変えるという希望のあるお話をしたいと考えております。